前回ターンエーガンダムを苦労して組み上げて感じたのは、「モビルスーツの模型は加工の勘所がわからないなあ」ということでした。
よく模型雑誌で、基本工作は丁寧に、とあるんだけど、その手のかけかたの感覚がわからないのです。細かくやすりをかけたり、見よう見まねパテで埋めたりしていると、どんどん完成が遠のく。それで完成度が上がるかというと、確証が持てない。
どこまで丁寧にしたら十分なのか。手のかけ具合、手の抜きどころが知りたいのです。
で、練習と思い同じ模型をふたつ、組み立ててみました。バンダイのHGCUシリーズ、量産型ザク。
左がけっこう真面目に基本工作をやって、プロポーションに関わる小改造もしたもの。右が素組みで、基本工作も最低限にとどめたもの。
真面目に工作したほう
- 合わせ目はちゃんと接着剤で張り合わせた上、パーティングラインとともに入念にやすりがけ。
- 張り合わせでミゾが残った部分は、黒い瞬着材で埋める。
- 平面は全面、ヒケが目立たなくなるまでやすりがけ(パテ埋めは無し)。
- カドもエッジが出るようやすりがけ。
- モノアイの幅を詰めて、頭を小さく見せる。
- 首のボールジョイントの上から1/3をカットして、頭が胴体に密着するように見せる。
- 右肩シールドの接続部分を一度切断、切り詰めて、肩に密着するように見せる。
- 左肩スパイクは先端にパテを盛ったうえ、尖らせる。
- 手首を別メーカーのオプション品(極め手 丸指)に変更。
ざっくり工作したほう
- 合わせ目は接着して、ざっくりやすり掛け。
- その他やすり掛けは、ゲート跡を消すぐらいで、パーティングライン消しや面出しはやらない。
- その他、一切素組み。
で、どうだったのか
写真の撮り方に問題があり、そんなに変化が観て取れませんが、実際見ると……やっぱりそんなに違わなかったりします。とはいえ、まざまざと観察してみると……
- 頭や肩などプロポーションに関わる部分は、小工作だがかなり締まって見えるように。
- 合わせ目は、テキトーなやすり掛けしかしてないほうも、結構消えてる。
- 面出し・エッジ出しは、生真面目に全面やってもあんまり効果なし。かけどころの見極めが必要。
……といった気づきがあり、やって無駄ではなかったな、という感じ。
上半身
モノアイ部分の厚さの削り込みは、0.5mm程度の違いですが、ずいぶん小顔に見えるようになりました。首の接続部分を詰める工作も、おおもとの木偶人形的なイメージを和らげることができたと思います。
ただ、モノアイの幅は、元の厚さでもいいっちゃいいんですよね。もともとターンAガンダムの横に置くことを考えていたので、モノアイが大きい造形は“ボルジャーノン”っぽくて雰囲気がある。左肩のスパイクも同様です。先端が丸くても、キャラクターのトータルの造形としては、正解かもしれない。
右のざっくり工作のほうは、この写真でもスパイクの下に合わせ目が出て見えます。
下半身
いっぽう、腿(もも)や脛(すね)の合わせ目は、テキトーに接着剤で貼って軽くけずっただけの右側も、存外によく消えてる。やすり掛け、頑張りすぎなくてもいいんだ。
左側の肘、脛部分は、ヤスリによるエッジ出しの効果が出てくれました。写真ではあまりはっきり見えませんが、凹曲線がハッキリして、肘のカバーから脛、足の甲上部へと、曲線がきれいなS字を描いて繋がるようデザインされていることが、分かりやすくなったかと思います。
脚以外では、バックパックも、シャープにした効果が出ました。
手のパーツは、まあ部材ごと違うので効果はてきめんですね。顔の小型化、肩アーマーのシャープ化と並んで、末端が締まると、全体の印象も締まって見えます。
手のかけ方の差が出るところ、出ないところ。手を抜いていいところ。ほんの少しだけ分かったような気になっったところで、じゃあもうちょっと手をかけて、色をつけてみたいと思います。
しかしデスクに同じ人型の模型が2つあると、とたんに何というか、生き物っぽくなるな……。