1/72のLAV-Rが仕事の息抜きで遊ぶのにちょうどよかったんで、こんどもおなじ1/72、トランぺッター製のイスラエル国防軍主力戦車 メルカバMk.3を作ります。
2012年11月。シリア危機の余波がイスラエル国境までおよび、越境砲撃が行われるのではという事態になりました。対抗処置としてイスラエル国防軍は陸軍を動員し、国境付近に戦車を全面配備します。
この危機ではシリアとの直接の戦闘はなかったものの、冷え切ったパレスチナとの関係もあり、イスラエル国境地帯では、ごく頻繁に、兵器によって人命が失われます。
テレビの向こうに映される本当の戦争を、どう理解し、どう行動すべきか。やりようはいくつかあるとは思います。が、ニュースの映像に心を痛め真摯に平和を願っても、それは願いでしかく、テレビの向こうドラマに感動しているのと同じ程度のことなのだという、醒めた思いがあるのもまた事実です。
翻って中東の彼らは、極東情勢をどう見ているのか。おそらく、彼らも日中韓、北朝鮮の情勢を、テレビの中のドラマとしてしか見られていないのでしょう。互いにテレビの向こうの世界に無力でであれば、われわれにできるのは、それぞれ自身の身近な地域の、平和のために行動することなのだと、納得するしかないわけです。
で、まあ不謹慎な話ですが、ニュースで流れる戦車のいる日常に目を奪われ、その姿が目に焼き付いたわけです。それが模型店を訪れたときに影響したのは、否定のしようがありません。制作開始。
考えてみれば 履帯を履いて主砲を載せた “戦車” を作るのは初めて。
その履帯(キャタピラ)は、最初から転輪と一体形成! 転輪とかみ合うセンターガイドが一部抜けている欠点はあるものの、手軽に作れて助かります。
組みあがり。何もしないのも難なので、アンテナに加え、車体前部にあるフックに、実機の写真や動画でよく見るチェーンをつけてやります。
あと最近の写真ではMk.3でもMk.4でも車体の4隅にポールがついてるんですが、あれなんなんでしょうね? 市街戦用のセンサーにしたって妙な位置だし。車内ののぞき穴から車幅を確認するんでしょうか?
戦艦モデルの錨なんかにつかう極小チェーンをつけて、基本塗装。メルカバはシナイ半島特有の土壌にあわせるため色調が独特で、灰色のような、緑のような、土色のような……。専用塗料もあるそうですが、めんどうなので、ラッカー塗料のタンにエアクラフトグレーを加えて、鈍い灰色にしてばーっと塗りました。いちおう下地に艦底色&エッジ部分に黒を使い、シェーディング効果をだそうとしてます。
デカールを張って、さらに土色のエナメルウォッシュをかけて、これで本体は完成とします。アンテナは折り畳んだ状態にしてるんですが、留め線は細すぎて作るのが怖いので、心の目で見ることにします。主砲の白いペイントも……故意で忘れました。
さて、ジオラマ(というかヴィネット)用の土台をつくらねばなりません。
LAV-Rの時と同じ、ハガキサイズ。最初は紙粘土で盛り土したんですが、画材屋で見つけた“コルク粘土”が魅力的だったので、その上から薄くかぶせてます。
コルク粘土はかなり縮むので、厚めにならないよう慎重に。いったん戦車を載せて、履帯の周辺に土をかき分けた跡をつくります。すこし調子に乗って、岩っぽいのも加えました。ホンモノのシナイ半島の赤土土壌がこうなってるかと言われれば、疑問だけど。
塗装しなくても赤土っぽいんですが、さすがにこの色だと戦車が浮いてしまいます。タミヤのウェザリングマスター、ライトサンド色をぱたぱたと塗りこみ、色を落ち着かせました。
これでできあがり。
続いて写真を撮ります。