模型にハマりはじめてまだ半年ほど。一流のモデラーのかたはどんなモノを作るのかと思って、帰省のついでに、浜松にできた『浜松ジオラマファクトリー』に行ってきました。駅から少し歩いたところにある、ザザシティの3階にあります。
どうでもいいけどザザシティって、天竜川上流のざざむしを連想させてなんかゲテモノっぽいんですが……。この辺も施設が商業的にヒットしなかった原因だったりして。
山田卓司さんの作品が常設、そして2012年8月末まで、特別展『風景の作家たち』として、山本日出男さん、奥川泰弘さんの作品が展示されています。さて何が出てるんだろうと、ほとんど予備知識も持たずいったんですが……腰抜かしました。
なにこの水情景!
山本日出男さんの作品です。よく1/700の軍艦ジオラマを見て、水表現て大変そうだなと思ってたので、こんなダイナミックな水表現ができるのかと思うと、抜けた腰がなかなかハマりません。
ほかにも、ラフティングやダイビングの情景で、その水の表現を堪能できます。
ダイビングの滝なんか、いったいどうやって造形するんでしょう? よっくみるとファイバーな質感があるんですが、それがまとまるともう水にしか見えない。
自然の海や川に比べて動きが少ないはずの水族館の水塊も、意外な手法で、恐ろしいぐらいの躍動感が与えられています。
白熊は飛び込んだ瞬間の気泡も含めて、静止したまま。水族館のモデルは水の上の複雑なトラス構造にも目がひきよせられます。
そんな水族館の水面の下をのぞくと、こうなってます。
シリコンの海のなかで静止するジンベイザメ。波間から差し込みきらめく光も、静止したまま。
これらは、ご本人のblogで製作工程を見ることができます。
http://blogs.yahoo.co.jp/hideo098/MYBLOG/yblog.html
水表現ばかりに目がいってしまいましたが、日常を切り出した作品も、見応えのあるものばかりです。奥川泰弘さんのランツ・ブルドッグトラクター
左に立つおやじは、柔和な表情と、頭にちょっと入りきってない青い帽子にぐっと来ます。奥川さんの情景模型は比較的スケールの大きなものが多く、人間の表情もはっきり分かってたのしいです。
奥川さんのblogはこちら。すっごい錆表現。
http://doozymodelworks.blogspot.jp/
ミリタリーも豊富。奥川康弘さんのIV号戦車や米軍2.5tトラック。IV号だよね? なにぶんにわかファンなもので戦車の見分けに自信がない……。
モノクロにすると、ほんと歴史写真のような雰囲気。
なお、写真は一部撮影可。展示カバーのプレクシグラスごしに撮りました。美麗な写真はオフィシャルサイトにアルバムがあります。
http://www.hamamatsu-diorama.com/works_list
山本日出男さんの香港。
差し込む光と影の表現を堪能できるのは、博物館型の展示があってのこと。作品は腰を落として横から覗き込むと、そのスケール感が堪能できます。できれば展示の高さをもう少し上げてほしいけど、そうすると子供が見られなくなるからダメかな?
神戸港は1/700で、ちゃんとウォーターラインシリーズの潜水艦が配されています。ポートタワーのクッキリした造形に目が釘付け。まさに実物を見ているようでした。
そして、キャラクターモデル。ウルトラセブン対キング・ジョー。
こちらは山田卓司さんの作品。見れば即座に脳内で“キングジョーの音”が再生されるレベル(そういう音効があるんです。独特な音で……)。
このほかにも、ガンダムや日米映画のジオラマ、変わり種でジョン・F・ケネディなんかも展示されていました。スター・ウォーズ関係が無かったのは版権の関係かしら? スタートレックはあまり作ってるひといなさそうだけど……。
施設を出た浜松の風景。
アクトタワーに遠鉄の高架が被り、立体感のあるレイアウトが美しい。……いや、もうあらゆる風景が情景模型に見えてしまいます。ほとんど洗脳だよコレ。
模型を地場産業とする静岡県、ぜひこの施設は常設の博物館に格上げして、静岡・浜松に来ればいつでも最上級の情景模型を堪能できるようになればと願っています。
もうひとつ欲を言えば、日本だけでなく、いまや立派なプラモデルメーカーのある中国・香港・台湾・韓国で作られた作品も観てみたい。だってほら、ウチの田舎にある富士山なんちゃら国際空港、アジア便ぐらいしかないのに、いまだにマトモに使われてないみたいだし……。
東京-大阪間を新幹線で移動される際は、ぜひ半日時間をうまく取って、浜松停まりのひかりで途中下車して見学することをお勧めします。