旅と模型

Gaso Line's "Travel & Build" weblog

東京駅から月島へ。隅田川河口の散歩

晴れた土曜だというのに用事でいっぱいの朝。少し早く出て、隅田川河口べりを散歩することにした。

朝8時。出発点は東京駅。海側に向かうんだから八重洲口でもいいんだけれど、せっかく駅舎が改築されたんだし、ここから歩きはじめる。

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新しい駅舎は建設当時の姿に復元されたというけど、あのドームの形状は、どうも今の東京にはなじんでいないような気がする。丸の内口を出て右に、高架沿いを進み、まずは永代通りに出る。また右に曲がって高架をくぐり、永代橋にむかっててくてく歩いていく。

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日本橋コレドの曲面を描く躯体に、朝日があたっている。八重洲通りや永代通りは、真東からすこしだけ南にズレた方向に伸びているんだけど、1月から2月ころ、ちょうど旧正月のころあいに、この道のまっすぐ正面から太陽が昇るようになる。この道ができたのは江戸時代だろうか。当時の為政者の意図だったんじゃないかと思う。

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日本橋をすぎたあたりが証券街の兜町。平日ならいくつかおいしい喫茶店が朝から開いているんだけど、休日はお休みが多くて残念。昭和通り、平成通り(あるんですよこういう通りが)を越えると、茅場町の交差点の向こうに要塞のような旧山一證券ビルが見えてくる。いまでは雑居オフィスとマンションになっているようだ。

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この山一證券ビルの向こうにあるのが、永代橋。美しいアーチ橋だ。平らな鉄板がゆるりとカーブを描いて盛り上がり、高いアーチとなっていく。

この橋のたもとに、隅田川沿いにのびる遊歩道、隅田川テラスがある。そこに降りて、川下に向かって歩いていく。道路の騒音が後ろに去ってゆき、並木の葉擦れの音やスズメの鳴き声、波がちいさく砕ける音が、耳に入ってくる。

堤防の上からテラスに降りると、ぱっと視界がひらける。大川端リバーシティ21だ。

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中央大橋の向こうにそびえる、月島の高層マンション群。高層ビル好きにとっては、怪獣軍団大集結! みたいな光景だ。右奥には聖路加のセントルークスタワー、左奥には豊洲のスカイシティも見えている。

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土手の桜並木は色づき始めていて、いまがちょうど見ごろ。もちろん春の桜満開のころがいちばんきれいだけれど。

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ふりかえれば、壁に蔦を張るノアサガオの向こうに、永代橋とスカイツリーが見える。ここからはスカイツリーより東京タワーのほうが近いんだけれど、ツリーはものすごく大きく見える。

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鳥も多い。朝方は鵜が日光浴をしているのがよく見られる。

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こちらはカモメに混じって物憂げに羽を休めるコサギ

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中央大橋までたどり着いたら、橋を渡って佃島へ。中央大橋はハープも美しいが、下から眺めるこの曲線もまた美しい。

リバーシティの外延部に沿って、向こう側のテラスを歩く。ここまでくると陽が登ってきて、イヌの散歩やジョギング、釣りにいそしむ人々が増えてくる。高層マンション街だけど、出ているひとは意外とお年寄りが多い。古くからの下町にすむ人々だ。

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相生橋の向こう側に出れば、昔ながらのコンクリート護岸がもどってくる。その裏側にはこうやって、海辺に住む人々の鉢植えがずらりと並んでいる。

21世紀に入ってから建った高層ビルの手前に、昭和の低層ビルがあり、その前に大正から続く民家が建つ。この時間の重なりを感じさせる光景が、月島の、いや東京全域の、魅力だと思う。

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むかしの料亭、海水館の跡地まで来て、きょうの散歩はおしまい。

たらたら歩いて1時間半ぐらい。月島駅に出れば、有楽町線で銀座に出ることも、大江戸線で新宿に向かうこともできる。