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練馬発 鞍馬行きの旅 Part2: 10月の鞍馬で感じる、紅葉とゼニの気配

 承前。練馬から鞍馬に着いたのは9時15分。駅をでると巨大な鞍馬天狗の顔がお出迎え。俗っぽいなあ。

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さて、本来の目的である京都リーガロイヤルでの結婚式は、集合が11時半。逆算すると、ここにいられるのはどう頑張っても1時間が限界だ。乗るもの乗って、行けるところまでいってみよう。

鞍馬山の入り口となる仁王門。200円の“愛山料”を支払って、なかに入る。

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門に置かれた阿吽の狛犬はすっきりとした造形で、とても可愛らしい。よくにこの吽形は眼差しもどこか優しく、全体のデザインは、すごくネコっぽい。

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さて、練馬からさんざん電車を乗り継いできたわけだけど、最後の最後に乗るべきもうひとつの鉄道がある。『鞍馬山鋼索鉄道』だ。

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距離にしてわずか200mだけど、みてのとおりかなりの勾配の山を登るケーブルカー。鉄道法の認可を受けた、もっとも短い鉄道とのこと。

片道100円の、木の葉のかたちをした切符を買って、山門駅乗り込む。15分おきに出ている。

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乗っている時間は3分ほど。山の上の多宝塔めざして、ケーブルカーはゆっくりと昇っていく。そのあいだお寺さんのアナウンスが延々と流れるんだけど、宇宙エネルギーがどうとかこうとか、ちょっとなんか、怪しげなこといってる。山を登ることで、本尊たる宇宙エネルギーに近づけるんだそうだ。

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多宝塔駅で降りれば、目の前にあるのはその多宝塔。たてものは20世紀中期に建てられたもので、コンクリートっぽさがのこる少々安っぽいもの。ただ、それをかこむ木々の連なりが美しい。10月半ばだったからまだ紅葉には遠かったけれど、それでも少し、黄色く色づきはじめている葉が見える。

この多宝塔まで登ってしまうと、本殿まで起伏が少ない道を行くことができるんだけれど、そこまで行ってしまえば、確実に1時間では戻ってこられなくなる。残念ながらここまで。ふたたびケーブルカーで山門に降りる。

山門から、こんどは参道をすこし歩いて最初の参拝所、由岐神社を見学。

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立派な木造の拝殿。ここをくぐりぬけて、おやしろと立派な神木を拝むことになる。

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ご神木は立派なんだが、神社にはやたらと「厄除けやってます」みたいな宣伝看板が立てかけられてて、ちょっとゼニのにおいが……。

入山料も取るし、ケーブルカーもきっちり料金(これ運賃でなく寄付金扱いらしい)取る。そして参拝所ごとに賽銭だのお祓いだのお守りだの、まるで見えない山の神が財布から小銭をすこしずつ抜いてくような仕組みである。

参道を登って宇宙エネルギーに近づくためには、現世にゼニを落とさなければならないわけだ。きょうは結婚式のご祝儀にゼニを持ってかれるので、参拝はここまでにして変えることにした。

滞在はちょうど1時間。すっかり陽も登り、晴れ渡った空に秋口の空気が感じられる。

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10月も終わりになれば紅葉も始まるだろうし、鞍馬の火祭りという奇祭もあるそうだ。こんど鞍馬山にくるときは、もうすこしゆっくりしたい。

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滑り落ちるように軽やかにすすむ叡電に乗って、一路京都市街を目指す。予定どおり、11時30分にリーガロイヤルホテルに着いて、今回の旅はおしまい。