12月8日のよく晴れた土曜日。ことしはまだ紅葉を見ていなかったので、遅いかとおもいつつ、都内の紅葉の名所をすこし回ることにした。
昼過ぎに新宿での用事が終わったので、明治通りをてくてくと北上する。早稲田、学習院のあたりは、ビルが低くなり、昔ながらの民家も増えてくる。柿の木のある家も多い。
西早稲田の地蔵坂(この名前は新宿区だけで3か所ある)を下って早稲田通りを渡る。右手にあるパークタワー沿いの新しい道を、回り込むように新目白どおりに入って、とあるビル1階の駐車スペースを突き抜けると、ひょっこりと、藁葺きのかかった入口がある。これが甘泉園。新宿で紅葉といえばここ、池に囲まれた立派な庭園だ。
もう枯れてしまっているかと思っていたら、あにはからんや見事、燃え立つような紅葉。
色濃く残る茶の木の緑も、目を引く。
雪吊りを施された松の脇では近所の奥様方が子供談義。近くで遊んでる子供たちが手に持ってるのは、ヘッケラー&コッホG36Cアサルトライフルのモデルガン。平和な昼下がりだ。
これで帰るのももったいないので、都営荒川線のターミナル、早稲田停留場から電車に乗る。発車のときの、カンカン! という鐘音がだいすきだ。独特の起動音をたてて、電車はゆるゆると進んでいく。
東池袋四丁目で途中下車して、昼食にする。ライズイティのむかい、首都高5号の高架下には、気軽に立ち寄れるいい店がそろってる。シティの池袋中央図書館に通っていたころ、よく使っていた。il tessuto(イルテスート)で生ハムとモッツァレラのサンドウィッチ。
池袋を過ぎると、都電沿線は本格的な下町になっていく。乗客もぐっと増える。
車内の会話を聞いていると、完全に地元のじいさんばあさんの乗り物だ。ふつう路線沿いは開発がすすむものなのに、荒川線沿線は逆に決まりでもあるかのように、古い家並みがずっと残されている。
飛鳥山の停留場で下車。でも飛鳥山には登らない。北に向かって、細い路地を歩く。
15分ほど歩いて、三瓶坂を下ったあたりにあるのが、名主の滝公園。小高い丘になっていて、ここを大小ふたつの滝が流れる……んだけど、現在“故障中”とのこと。
それでも紅葉は素晴らしかった。
そろそろ日が暮れてきた。王子駅前停留場から、ふたたび電車に乗る。
ここから30分ほど乗り続けると。終点、三ノ輪橋停留場。もうとっぷりと日も暮れて、このあたりを散策するには遅すぎた。
三ノ輪駅から日比谷線に乗って、仲御徒町ですこし模型の具材を買って帰る。これで今年の紅葉はおしまい。