旅と模型

Gaso Line's "Travel & Build" weblog

仙台・石巻・松島の旅 Part2

承前。石巻の丘の上で中学生カップルの青春のいちページを目撃したあと、昼過ぎにこんどは石巻線に乗り換えて、北陸本線との合流点、小牛田駅に向かう。仙台・石巻・小牛田を結ぶ、3角形の鉄道ルートを楽しもうというわけ。なにしろ週末だけのいきあたりばったり旅行、観光できるのは実質1日なので、サクサクいくのだ。

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写真は石巻駅に止まるキハ48-1535。この気動車は30年選手。むかし田舎の東海道線を走ってた湘南電車も、こんな面構えだった。

石巻を出ると、被災の痕はすぐにまた見えなくなる。天災のどうしようもない理不尽さは、こういうところで感じられる。

鉄路に沿って、初夏の青々とのびる稲穂と、古い町並みが、交互に繰り返される。小牛田への道のりは30分ほど。

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小牛田(こごた)は、東北本線石巻線陸羽東線が接続する、意外とおおきなジャンクション駅だ。付設された留置線には、このクラシックなキハ48列車の、ツヤのある緑とクリーム色の車体が連なり、太陽に照らされている。

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小牛田から東北本線に乗り換える。そこを通うのはE721系。最近の中央線なんかと同じように、ヘッドライトが上についた、新しいモデルだ。

水田が、流れるように過ぎてゆく。その奥に低い山々が見える。東海道線ではもうあまり見られない光景だ。奥羽山脈ってのは、もっと奥にあるんだろうな。なにしろ筑波より北に行ったことがなかったから、山脈が“南北に”連なってるってことだけで驚きなのだ。

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ふと、途中駅で降りてみた。松山町は、赤い屋根が印象的な駅。それほど小さな駅ではないけど、駅員さんはひとりだけ。駅の周りにもほとんどなにもない。自分の田舎とおなじ無機質なアスファルトとくたびれた家のならびだ。ただ、わずかな民家の群れの外には、ずっと田園が広がっている。

駅の前では、これから仙台に遊びに行くらしいヤンキー2人が、ウンコ座りしながら電車を待っていた。ここから15分も電車に乗れば、松島駅に着く。

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なるほど、これが松島か。

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 坂道の途中にある、3つの島が逆扇型に見えるこの場所が、昔からの景勝地なのだそうだ。ただ、手前の島はカモメの巣になってすっかり禿げあがってしまっている。心の目で、芭蕉の眺めた頃の松島を想像することにした。 

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瑞巌寺。伊達正宗が復興させた寺なのだそうだ。松島をかたどる白い岩肌は、やわらかい凝灰岩ででている。寺はその岩山のあいまにあり、岩をくりぬいて部屋がつくられていたりする。なるほど、この地形は要塞としても機能しそうだな。

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岩肌を削って整形したらしい跡が見える。

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今回は夏の松島だったけれど、春は桜の、秋は紅葉のあいだから海と島を見ることができるだろう。また、雪の松島の美しさは想像に難くない。またもういちど、来てみようと思う。

仙台、松島、石巻はそう離れていない土地で、小牛田も含めてぐるりとまわると、ちょうど1日が終わる。ディーゼル気動車も満喫し、まさに気分転換に良い旅だった。

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さて、一泊して東京に戻る前に、仙台観光もしてきた。市内を回るループルバスはおすすめ! 人によってだけれど、運転手さんの軽妙なトークで仙台の知られざる(というじゃ知らなくてもよかった)秘密が語られる。青葉山に熊が出るなんてホント知らなかったよ。ここ東北一の政令指定都市だよね?

その青葉山仙台城址は、博物館にあるハイビジョンシアターが面白かった。多少黴臭いシアターだけど、CGIで再現されたかつての青葉城若本規夫の解説(というか洗脳)で、伊達正宗がものすごく有能で偉大な人物だったということがよくわかった。いや本当に見直した。

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帰りの新幹線は、E4系MAXやまびこ。二階建て列車を経験して、今回の旅行はおしまい。